小説を書けない理由と解決策|初心者が完走するための4つのヒント

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「書きたいのに、書けない。」

それは、甘えでもなければ、才能がないせいでもありません。

・面白い設定が浮かんだのに、書き出すと手が止まる
・頭の中では進んでた物語が、言葉にしようとした途端に消えてしまう
・書き始めたものの、読み返すと「意味が分からない…」って自分でも戸惑う
・書きたいのに、下手な文章を見るのがつらくて、画面を閉じたくなる

こんな風に、書けない理由っていくつも出てきますよね。

でも、私はあるとき気づきました。
「書けない」のは、才能がないからじゃない。

──まだ“うまく書ける自分”に出会えてないだけ。

そして、その“自分”はちゃんと未来にいて、
ほんの少しずつでも前に進んでいれば、きっと出会える。

この記事では、私自身の経験も交えながら、
「小説が書けない理由」を4つに分けて、
それぞれの解決策を初心者向けに紹介していきます。

「書きたいのに、止まってしまう」あなたの背中を、そっと押せたらうれしいです。

目次

1. ゴールが見えていない(=どう終わるか分からない)

物語の始まりは見えてるのに、終わりがぼんやりしている。
これ、書けなくなる原因として本当に多いです。

「とりあえず書き出したら止まった」というのは、
どこに向かえばいいか分からなくなるから。

例えば、

・魅力的なキャラクターを思いついたのに、どこに向かうのか分からない
・雰囲気はあるけど、起こる出来事が決めきれず、物語がふわっとしてしまう
・「書きながら考えればいい」と思っていたら、途中で迷子になった

私も何度も経験しました。
せっかくワクワクしながら書き始めたのに、途中で止まってしまうと、余計に「私ってダメかも」と落ち込んでしまう。

物語の「ゴール」がないと、キャラクターも読者も、どこへ向かえばいいのか分からないのは当たり前。

なぜなら、物語は“選択”の連続だからです。

進む、立ち止まる、逃げる、戦う――すべての行動が「どこを目指しているか」で変わってくる。

ゴールがぼんやりしていると、キャラは迷い、読者もついていけなくなる。
作者自身も「何を描けばいいのか」が見えなくなって、物語が止まってしまうんです。

解決策:まずは“ラストシーン”をイメージしてみる

小説の完成度はさておき、まずは「こう終わったら素敵かも」と思えるラストを1つ用意してみてください。

例えば、

・長く続いたすれ違いの末、ようやく心が通じ合った瞬間。抱き寄せてキスを交わす──それは言葉よりも深く、「もう離さない」と語っているラスト

・はっきりとは描かれないけれど、差し込む陽だまりやそっと重ねられた手──ふとした描写から“幸せが続いていく未来”を読者が感じ取れる、余韻を残す終わり方

・最後の選択で、相手のためにすべてを差し出して命を落とした登場人物。その想いを胸に、主人公が空を見上げて「あなたに出会えてよかった」と静かに前を向く。結ばれなかったけれど、たしかに愛が残ったラスト

・感情の頂点を越えたあと、物語は日常へと帰っていく。湯気の立つ朝の食卓や、さりげない会話の中に“変わった自分”を感じる、静かな締めくくり

・昔交わした約束や一言がふいに蘇り、ふたりで見つめ合い微笑む──過去と今がつながって、物語にあたたかな輪ができるような終わり方

こうしたラストの空気をなんとなくでも思い描けると、
そこに向けてキャラクターや出来事が自然と形になってきます。

「始まり」より「終わり」を先に考えるほうが、意外と上手くまとまります。

終わりを考えるための3つのヒント

「ラストが思い浮かばない…」という人は、まずこの3つを考えてみてください。

1. 主人公の“最後にたどり着いてほしい気持ち”はどんなもの?

・誰かにちゃんと愛されて、「もうひとりじゃない」と思えている
・傷ついた過去を越えて、「私も幸せになっていい」と受け入れられている
・叶わなかった想いに自分なりの区切りをつけて、「ありがとう」とつぶやけている
・心の中にある思い出を大切にしまって、「あの時間があったから今がある」と思えている
・側にいられなくても、「あなたを好きでよかった」と心から思えている

ラストにどんな気持ちが流れていてほしいか――
それを想像することで、物語の終わり方は自然に見えてきます。“出来事”より“感情の着地”にヒントがあることが多いです。

2. スタート地点と比べて“何が変わっているか”

・最初は臆病だった主人公が、大切な人のために一歩踏み出せた(=行動の変化)
・誰かを愛することを恐れていた人が、「好き」と伝えられるようになった(=感情の変化)
・諦めていた夢を、もう一度追いかけてみようと決意した(=目標・価値観の変化)
・自分の間違いを認めて、誰かにちゃんと謝ることができた(=対人関係の変化)
・失ったものを抱えながらも、「あの時間は存在した」と受け入れるようになった(=喪失と再出発)

人が変わる瞬間には、必ず物語があります。

その“変化”こそが、あなたの物語のラストシーンを教えてくれるはず。変わったことを軸に考えてみて。

3. 読後に“どんな気持ち”を残したい?

・ほっこりした温かな気持ち?
・苦しくても前を向く希望の光?
・胸がキュンとなる甘酸っぱさ?
・泣いたあとに心がじんわり、感動の余韻?
・ラスト1ページで息をのむような、静かな衝撃?

読者にどんな“余韻”を届けたいかを想像すると、自然とラストが浮かんできます。

完璧じゃなくてもいい。
なんとなく、こう終わったらいいな」でも十分。
その“なんとなく”が、あなたの物語を導いてくれます。

2.キャラが勝手に動いてくれない

書いているうちに「あれ?このキャラ、何がしたいんだっけ?」と手が止まる。

最初はイメージも性格もはっきりしていたのに、物語が進むうちに行動や言動にズレが出てくる。
気づけばキャラが自分の意思ではなく、“物語を都合よく動かすための存在”になってしまっていることも。

実はこれ、キャラからの「その展開、納得してないよ」というサインかもしれません。

たとえば、プロット(=物語の設計図)通りに話を進めようとしすぎて、
キャラの感情や価値観が置き去りになると、キャラは“動かなく”なるんです。

だからこそ必要なのが、「このキャラならこうする」という“芯”を持たせること。

それがあるだけで、キャラは物語の中でちゃんと“自分の足で”動き始めてくれます。

※プロット(物語構成)の作り方や、キャラとのズレを直す方法については今後別記事で詳しくまとめる予定です。
記事が完成したら、ここにリンクを貼りますね。

解決策:キャラの“芯”をひとことで決めておく

キャラが動かなくなるのは、性格がブレたからというよりも、
「このキャラが本当に大切にしているもの」が曖昧なまま動かしてしまったから、というケースが多いです。

だからこそ、ざっくりでもいいので“芯”を決めておきましょう。

・「この子は絶対に○○だけはしない」と一線を引いておく
・好きなもの・嫌いなもの・コンプレックス・癖など、感情の軸をメモしておく
・「この子がこの場にいたら、どう感じて、どう行動するか?」を想像してあげる

キャラは“感情で動く存在”です。

設定よりも、まずは「この子ならどう思うかな?」の視点を持つだけで、
物語の中で自然に生きてくれるようになります。

補足:キャラが動かなくなる原因は“芯”以外にもある

キャラが止まってしまう時、理由はひとつだけじゃありません。
よくある原因としては、次のようなものもあります。

  • セリフが本音じゃない
     キャラが言いたいことを言えておらず、どこか嘘っぽくなっている
  • 展開を優先しすぎている
     物語の進行ばかり気にして、キャラの感情が置いていかれている
  • 関係性が曖昧なまま書き進めている
     キャラ同士の距離感がフワフワしていて、会話に芯がない
  • 書き手がキャラに愛着を持てていない
     「この子、書くの苦手だな…」という気持ちが、無意識に筆を止めていることも

キャラが動かないときは、「私が下手だから」と責めなくていいんです。
それはむしろ、“キャラとちゃんと向き合えている証拠”

焦らなくて大丈夫。
書けない時は一度手を止めて情報を深堀りするのが近道。

そこで、そんな時に役立つミニテンプレートをご用意してみました。

キャラブレを防ぐためのミニテンプレート

キャラの性格やプロフィールを「全部決めなきゃ」と思いがちですが、
実は細かく決めていなくても、ちゃんとストーリーは続きます。

キャラを自然に動かすために大切なのは、“すべてを設定すること”ではなく、
感情の軸や価値観をしっかり言語化しておくこと

すべての項目を事細かに書く必要はありません。
物語に関係する部分だけを絞って整理する方が、キャラの言動にブレが出にくくなります。

たとえば――

性格 →「強がりで素直になれない。でも本当は寂しがりや」
感情 →「人に頼られると嬉しい。でも自分は人を頼れない」
関係性 →「Aにはツンツン、Bには甘えん坊」

書きながら「この子なら、こう言うだろうな」と思えるなら、それで十分です。

確認リスト

  1. このキャラが一番大切にしているものは?
  2. 絶対に“これはしない”と決めていることは?
  3. よく使う口癖や話し方のクセは?
  4. 好きなもの・苦手なものは?
  5. いま一番悩んでいることは?
  6. この子なら、この場面でどうする?

このリストを使ってキャラの“芯”をはっきりさせるだけで、
不思議なくらい、キャラが物語の中で自然に動き出すようになります。

それはきっと、違和感のないキャラには、すでに“命”が宿っているから。

補足:プロフィールは全て書き出さなくていいの?

キャラのプロフィールを全部決めようとすると、

  • 書き始める前に疲れてしまう…
  • “設定を守ること”が目的になって、キャラが硬くなる
  • 結局、物語に登場しない情報が多くてムダになる

ってこと、あるあるなんです。

性格そのものよりも、

  • 何を大事にしているか(価値観)
  • どういう時に怒る・泣く・照れるか(感情の動き方)
  • 誰に対してどういう態度を取るか(関係性)

芯になる部分だけを言語化(把握)しておくと、キャラブレ防止にもなるし、
会話もスムーズに書けるようになる。まず書くべきは感情の軸と反応だけで十分です!

3.書き出しにこだわりすぎて、前に進めない

小説の1行目。
それは、たったひとつの“はじまりの言葉”。

たった一文なのに、「物語のすべてがそこに詰まっていないといけない」ような気がして、
何を書いても、なんだか違う気がして――
気づけば、書いては消しての繰り返し。

「間違った始まりを書いたら、全部ダメになるかもしれない」

そう思うと、なかなか先に進めなくなってしまう人は多いのではないでしょうか。

でも、本当はそこまで気負わなくて大丈夫。

書き出しは、物語のすべてを背負わせる場所じゃありません。
「書いてみたい」と思ったその気持ちこそが、物語の最初の一歩です。

解決策:書き出しにこだわりすぎないための3つのヒント

1.とりあえず“今の気持ち”から始めてみる

最初の一文を完璧に整えなくても大丈夫。
今のあなたの中にある「このキャラを書きたい」「この世界を描きたい」って気持ちから、
一番書けそうな言葉をそっと置いてみてください。

それが「風が吹いていた」でも「〇〇は、逃げていた」でも、どんな言葉でもかまいません。
まずは、“動かす”ことの方がずっと大切です。

2.書きたいシーンから始めていい

物語は必ずしも“1ページ目”から書き始めなくていいんです。

告白シーン、バトル、別れ――
あなたの心が一番動くシーンから書き始めてみてください。
あとから前後を整えていけば、ちゃんと“物語”になります。

実際、村上春樹さんもインタビューで「書きたい場面から書き始めて、あとからつなげていくこともある」と語っていますし、
伊坂幸太郎さんはラストシーンを先に決めて、物語全体を逆算して組み立てることも多いそうです。

こうした“順番通りに書かない”スタイルは、プロの現場でも使われています。

3.書き出しはあとで何度でも書き直せる

本の冒頭にある言葉たちは、多くの場合“最初に書かれたもの”ではありません。
物語を書き終えたあとで、「この物語にぴったりな始まり」を探してつけられていることがほとんどです。

だから、今のあなたに必要なのは“最初の一文”じゃなくて、
「この物語を書いてみたい」という気持ちを動かす何かで全然大丈夫なんですよ。

補足:頭から書くことに、こだわらなくていい理由

最初から順番通りに書こうとして、途中で止まってしまった原稿、いくつありますか?

──あるいは、最初の数ページだけ完璧に仕上げて、
後半になるほど勢いがなくなっていったものも。

それって、もしかしたら“真面目さ”が、物語を止めてしまった例かもしれません。

書きたいところから書くのは、ルール違反じゃない。
むしろ、物語を完走するための「戦略」です。

作品を形にしたいなら、ルートはどうだっていい。
ゴールにたどり着ける方法があるなら、遠回りだって最短ルートになります。

だからね、頭から書くことにこだわらなくて大丈夫。

プロだって、ラストから書く人、セリフから書く人、風景から書く人、いろいろいます。
あなたも、自分なりの“書きやすいやり方”を模索していっていいんです。

4.書きながら「下手だ」と感じて手が止まる

書いている途中で、「あれ…私、こんなに文章ヘタだったっけ?」ってふと手が止まる。

本や漫画、アニメをたくさん見てきたし、
キャラも世界観も大切に思っているのに、
いざ書こうとすると、どうにも上手くいかない。
読み返して「理想と違う…」とがっかりするたびに、心が重くなっていく。

でも――
それって実は、“当然”のことなんです。

小説を書くのって、想像以上に高度なこと

感情を描く。背景を描く。動きを描く。会話を自然に見せる。
しかも読み手に伝わるように、テンポも構成も整えて。
しかもしかも、キャラクターの魅力も引き出しながら。

これって、本当にすごく難しいことをやろうとしているんです。
趣味や遊びのはんちゅうを超えていると知っておくのが一つ。

最初から上手く書けなくて当たり前。
うまく書けないのはあなたが出来ないからではなく、
“挑戦してることがハイレベルすぎる”からこそ、まだ追いついていないだけ

解決策:「書きながら、育てていくしかない」と知ること

・小説は、“書いて→読み返して→直す”を繰り返して磨かれていくもの
・今の自分に書ける範囲で、一度「最後まで」書いてみる
・書き切って初めて、「こうすればよかった」が見えてくる

小説って、読んでるときはスルスル進むように見えるけど、
“書く側”になると、本当に奥が深くて、難しくて、果てしない。

だからこそ――

「うまく書けない」と感じることは、スタート地点にちゃんと立った証拠なんです。

そこから前に進むには、“書きながら育てる”しかない。

完成度を求めすぎず、書いていく中で、
「このキャラ、こうだったかも」「ここ、もっとよくできそう」

そんなふうに少しずつ気づいていくことが、創作の本質なのかもしれません。

ちょっぴりガッカリさせてしまったかもしれないけれど、
最初から完璧に仕上げられる人なんて、ほとんどいません。

それができるのは、ほんの一握りの天才だけ。

そう考えたら、少しだけ気持ちが楽になると思います。

絵を描くのと似ているのかも。
頭に浮かんだからといって、すぐ描けるとは限らない。

小説だって同じです。

想像と表現のあいだには、“埋めていくための訓練”が必要なんです。

補足:キャラが好きだから、苦しくなるのは当然

小説が書けないときって、
「自分の力不足が恥ずかしい」と思ってしまいがち。

それって裏を返せば、“ちゃんと書きたい”という気持ちが強い証拠なんですよね。

理想のキャラ像があって、見せたいシーンがあって、
でもその通りに書けなくて、読み返してがっかりして――
その繰り返しがつらくて、ムカついて、逃げたくなる。

だからこそ伝えたい。

「好き」だから苦しくなるのは当たり前。
だけど、“書かないまま”にしてしまう方が、よっぽどもったいない。

最初は、荒くても、違っても、かっこ悪くてもいい。
その一歩が、あなたのキャラにとっての“最初の呼吸”になるはずだから。

まずは、“今の自分”で書けるところから

上手く書くのは、あとでいくらでもできる。
最初から100点を目指さなくても、書き切ったあとにこそ見えてくるものがあります。

下手だと思ったって、かまわない。

でも、「書けなかった自分」を、書いていく中で超えていけたら、それはもう立派な成長です。

それが小説を書くということであり、
キャラクターや物語を誰かに届けようとする、創作の原動力なのだと思います。

…最初から上手に書けたら、作家なんてこの世からいなくなっちゃいますからね(笑)

さいごに:うまくなくていい。「書き切った経験」が、何よりも強い

私も、最初は書けなかった

私にも、途中で止めてしまった作品がたくさんあります。
書き始めたものの、恥ずかしさや不安、
「こんなんじゃダメだ」「他の人みたいにうまく書けない」という気持ちに押しつぶされて、
途中でそっとメモ帳を閉じてしまうこと、何度もありました。

書きたいのに書けないって、すごくつらいですよね。
本当は誰よりも自分が、想像しているストーリーを読みたいのに、
それが形にならないまま消えていくのが、もったいなくて、悔しくて――
でもどうしても書けない。

そんな気持ちをずっと抱えていました。

続けられるようになった、ちいさなきっかけ

書き続けられるようになったのは、
「読んでもらうため」じゃなくて、「自分のために書こう」と思えたときでした。

読みたい物語を、自分で作ってみる。
誰かの評価より、自分のワクワクを優先してみる。

そう思ったとき、自然と物語が動き出した気がしました。

最初からサイトを作らなくていい。
メモ帳に書き上げるだけで満足する日があってもいい。

「最初から長編じゃなくていい。短編からでもいい」

そう割り切れたことも、すごく気持ちを軽くしてくれました。

夜寝る前に、頭に浮かんだシーンをアニメのようにぼんやり想像してみたり、
忘れないようにメモしておいたり、
同じシーンを何度も反復して楽しんだこともあります。

1つの作品を、数年がかりで書き上げたこともありました。
もちろん、中途半端に終わらせた小説も、山ほどあります。

でも、それでもいいんです。
自分が楽しければ、それだけで十分なんです。

その中で最後まで書けるものを追いかけてもいいし、
上手に書けなくても、まずは自分の世界を広げるために完結させる。

自分で自分を縛らないというのも、大切な心構えです。

うまくなくていい。「書き切った経験」が、何よりも強い

小説は、完璧じゃなくても大丈夫。
最初からうまく書ける人なんて、ほとんどいません。

でも、「書いた」という事実は、
あなたにとって大きな一歩になるはずです。
その経験が、次の物語の土台になってくれます。

だからまずは、完走を目指してみてください。
それだけで、あなたはもう“書ける人”です。

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